2018/08/17 スタッフの家づくり Vol.46 室内の壁仕上げ その4
壁仕上げ、最終回です。
最後は塗り壁「ハミルトンウォール」について。
■ハミルトンウォールとの出会い
この仕上げを知ったキッカケは、新潟のある設計事務所さんから施工依頼をいただいたときでした。
仕上表の壁仕上げ欄に「ハミルトンウォール」と記載があり、尋ねてみたところ、「亀田にあるファブリックさんが扱ってる商材です」とのこと。
早速問い合わせてサンプルや現物を見せていただきましたが、とっても綺麗な仕上がりにびっくり!
仕上げ方はさまざまありますが、特にフラット仕上げが特別綺麗で、いつか使ってみたいなと思っていました。
結局その設計事務所さんの仕事は、金額の折り合いがつかず、×に…
でも新しい商材と出会えたことは、いい収穫になりました。
■ハミルトンウォールとは
石灰石を原材料にした自然素材の塗り壁です。
アメリカの漆喰にあたります。
吸水性と消臭機能が特徴的で、仕上がった室内はほんのりいい香りがします。
粒子が細かく、クリームペースト状です。(下写真)
壁全体が柔らかい印象を受けます。
■ドライウォール工法が前提
ドライウォール工法とは、内壁や天井に石膏テーパーボードを貼り、ボードの継目にジョイントテーピングとパテ処理を施し、強くて気密性の高い大壁を作る工法です。
通常、石膏ボードは「べベル」を使用することが一般的ですが、ドライウォール工法では「テーパー」を使います。
※「べベル」と「テーパー」の違いは下の画像をご参照ください。
ドライウォール工法は目地だけではなく入角や出角までも強固な下地を形成します。
この工法の最大のメリットは、「ひび」が入りにくい点。
塗り壁は木材の収縮などで気を付けていても「ひび」が入ってしまうことが多々あります。
ドライウォール工法+ハミルトンウォールを採用することで、そのひびを極力抑えることができます。
■それでもひびは入ってしまうもの…
1年経過したわが家ですが、正直「ひび」は出てきております。
特に目立つのは、「木部との取り合い部分」。
例えば、窓枠と壁、梁と壁といった箇所です。
これは、壁自体が悪いわけではなく、木材の収縮によるもの。
冬場は乾燥しますし、エアコンで暖を取るわが家は尚更です。
ただ、このようなひびや隙間は補修も容易で、補修剤を指で撫でるように埋めてあげれば完成です。
※入隅部の補修。時間の経過と共に色も馴染みます。
■採用してみてわかったこと
上記にも書きましたが、壁全体が柔らかい印象を受ける通り、実際他の漆喰に比べて柔らかい素材だと思います。
なので、少しでも手荷物などが当たるだけでキズが付きます。
引越しの際には養生を入念に施す必要がありそうです。
一般的に、硬い=強い、柔らかい=弱い という印象を受けがちですが、壁についてはある程度の柔らかさ=弾力性は大切で、柔らかさがあるからこそ、家が動いた際にも素材の柔軟性でひびが入りづらいといったメリットも考えられます。
キズは付きやすいけど、ひびは入りづらい… 一長一短ですね。
■採用の決め手
良い点も悪い点も書きましたが、私が採用した一番の決め手は、「天井と壁の見切りがいらない」という点です。
見切りのことを建築用語で「廻縁(まわりぶち)」といいます。
この廻縁がないとどうしても壁と天井の取り合い部分が割れて、目立ってしまう心配があります。
なくて割れない・割れづらいならそれに越したことはないのです。
今回のドライウォール工法+ハミルトンウォール仕上げは、入隅部分(天井と壁の取り合い部分)に専用の割れ防止のコーナー材を入れることで、廻縁不要の納まりを推奨しています。
天井と壁の間に違う材がなく、同一素材で仕上がっているだけで見え方は全然違ってきます。
わが家は天井と壁の境が曖昧に見えるせいか、見上げると、ふわっとした印象を受け、なんとなく広がりも感じます。
ほんと些細なことですが、これが一番の決め手です。
以上、室内の壁仕上げ 塗り壁編でした。
※わが家の様子がファブリックさんのブログで紹介されました。
http://www.asf.cc/blog/date/2017/11/