2019/08/02 左官仕上げの外壁
外壁の種類はたくさんあります。
代表的な外壁は、
①窯業系サイディング
②ガルバリウム鋼板(金属系)
③左官仕上げ(漆喰やシラスそとん壁など)
④塗装(リシン吹付など)
⑤木(杉やレッドシダーなど)
⑥石・タイル
ざっとこんなところでしょうか。
どのような素材を使っても、外壁にはいつか、メンテナンスの時期がやってきます。
猛暑の日も、極寒の日も、雨にも風にも雪にも紫外線にも耐え、一番過酷な環境に置かれているわけですから。
現在建築中の「日の出の家」では久々に「左官仕上げの外壁」を一部採用しました。
初採用の、「コットンウォール」という塗り壁材です。
コットンウォールとは
輸入建材などを手掛ける「ブライトン」社の商品。
以前は「スタッコラースト」という名前でしたが、さらに性能を高めて開発されたのが「コットンウォール」です。
特徴としては、
- 天然アクリル100%でひび割れのリスクを軽減する高い弾性があること
- 着色に耐候性の高い天然鉱物から成る無機顔料を使用することで長持ちすること
- 揮発性有機溶剤を一切含まず、環境にも住まい手にも優しい素材であること
- 下塗りにフィニッシュと同色のプライマーを使用することで、二度塗りの必要がなく、施工性がよいこと
などがあげられます。
大事な下地材
外壁を左官仕上げにする際は、必ず「下地」が必要です。
仕上げと下地の相性が悪いと、「クラック(ひび)」の原因に。
施工を手掛ける「ファブリック」さんに伺ったところ、クラックには「収縮率」も関係しているそう。
ものには膨張・収縮がありますが、下地材が膨張しやすい・収縮しやすいとクラックが発生するとのこと。
左官仕上げの下地でも「湿式工法」と「乾式工法」の2種類の仕上げ方があります。
「湿式」は、現場で水を混ぜながらつくったモルタルや土壁などの材料を使う方法です。
「乾式」は、工場で生産されたパネルや合板などを現場で取り付ける工法です。
「乾式」のほうが工期も短縮でき、コストはお安めですが、パネル状の下地材のためどうしても目地が出てきてしまいます。
目地処理はするものの、反りや収縮などが原因でそこからクラックが発生することが多いのが現状。
コットンウォールを仕上げで使う場合、下地材は「デラクリート」を使用します。
デラクリートとは
「デラクリート」は、1980年代初めに米国のボードメーカーにより開発された外壁材・内壁材システムの総称です。
無機軽量骨材入りポルトランドセメントモルタルを芯材に、両面にガラス繊維ネットを埋め込んで補強したセメント系ボードを基とした材料です。
特徴としては、
- 目地を無くすことができる
デラクリートは、3尺×6尺のセメントボードを継ぎ合わせて施工しますが、専用のガラス繊維テープで継ぎ目を補強し、専用ベースコートで下地調整をする工法なので、目地のほとんどない下地壁にすることができます。
湿式と乾式の半々、両方のいいところを採用した工法といったところでしょうか。
- クラックが入りにくい
セメントボード内に発生させる微小なクラックにより、地震や風などで建物が揺れた際、ボード内部である程度分散・吸収させることが可能。
目地や仕上げ面への力の集中や伝わりを少なくし、クラックの発生を可能な限り抑制する機能を持っています。
※吉野石膏さんのHPより転記
- 曲面も施工可能
柔軟性に富んだしなやかな特性をもっているので、家造の家づくりでは登場場面はないと思いますが、曲面壁を施工することもできます。
- 耐水性 耐久性
デラクリートは、無機系の材料で構成されているので、 吸水による寸法変化が極めて少ない材料です。また耐候性にもすぐれ、広い範囲の温度や湿度の変化、 風雨、凍害にも高い耐久性を発揮します。
※吉野石膏さんのHPより転記
以上のようなことがあげられます。
クラックや反りなどが発生しては厳しい環境の中で耐えることができません。
丈夫な下地を作ること、丈夫な下地を選定すること、外壁下地は重要な部分です。
実際の質感は
なんだかんだとズラズラ書きましたが、左官仕上げの良さはテクスチャーと風合いにあると思います。
今回は玄関下屋部分に施工しましたが、落ち着きと職人の手仕事を感じられる玄関になりそう。
外壁選びは、デザイン性、メンテナンス性、コスト、好み、思考などお客様によって様々です。
なかなか100%満足できるものは正直ないと思っていますが、トータルで考えたときによりよいものをご提案できるよう、努めていきたいと思います。