新潟の気候風土に合った快適で省エネ、上質な木の家をつくるために

0120-918-085

※フリーダイヤルは県内のみ

〒950-3304 新潟県新潟市北区木崎863-2

House

家造の家づくり

お問い合わせ

House
家造の家づくり

2019/03/08

設計について【対談:家造 × 顧問建築家 水澤悟】

東京都内で設計業務を行う水澤悟建築設計事務所の水澤悟さんは、設計顧問として2009年より家造の設計に携わっています。

いかなる敷地条件においても、素材感や自然との繋がりを大切にした心地いい住まいを具現化する水澤さんは、どのような考え方で設計業務にあたっているのか?

水澤悟さんと、家造の加藤善典社長に、水澤さんが設計を行った家造のマネージャー若山拓郎さんの自宅の2階リビングでお話を伺いました。

(聞き手/Daily Lives Niigata 鈴木亮平)

 

水澤悟建築設計事務所 水澤悟さん

DSC_6556-Edit

1959年、新潟県六日町(現南魚沼市)生まれ。工学院大学建築学科卒業後、設計事務所勤務。1986年、田中敏溥建築設計事務所に入所し、木造住宅のほか共同住宅、図書館、商業ビル、診療所、工場などを担当。1997年、水澤悟建築設計事務所設立。木造住宅を中心に共同住宅やリノベーションなどの設計を行っている。

 

――はじめに水澤さんが建築の道を志したきっかけや経歴について教えて頂けますか?

 

水澤:僕は新潟県の六日町出身なのですが、中学生の頃に母の実家の近くで設計事務所を開いた方がいて。個人でも生きていける“建築士”という仕事に興味を持ち始めたんです。

それで、高校を卒業後は工学院大学の建築学科に進みました。

大学卒業後はハウスメーカー系列の住宅会社に入ったのですが、そこでは設計ではなく営業をしていたんです。

設計がやりたかった自分には合わず、半年で辞めてしまったんですが(笑)。

DSC_6554-Edit

その後、都内の設計事務所に入りました。そこでは、ゼネコンが手掛ける工場やマンションなどの大規模な建築物の設計をしていたんです。3年半程お世話になり、それは自分自身にとってすごくいい経験になりました。でも、その間に住宅の設計をしたいという希望が沸々と湧いてきたんです。

その時にご縁があって、田中敏溥建築設計事務所に入ることになりました。26歳の時のことです。そこで11年間お世話になり、1997年、37歳で独立して設計事務所を始めて今に至っています。

 

――田中敏溥さんの事務所に入り、そこで住宅の設計をスタートされたのですね?

 

水澤:実は僕が入ったころから住宅以外の仕事の依頼が入るようになり、RCの共同住宅やクリニック、工場や商業ビル、図書館などの担当をさせていただきました。そのことは前職の経験を生かすことができ、特に戸惑うことはありませんでした。

そのような非住宅の設計をやりつつ、住宅の設計の仕事もやっていったんです。大体半々くらいの割合だったと思います。

11年間お世話になって、その間に田中さんから受けた影響は大きかったですね。ただ、「住宅の設計はこうやるんだよ」というような教えは一切なくて。図面をまとめ、現場で大工さんとコミュニケーションを取り、完成した建物に対して自分がどう感じるか、施主さんにどのように感じてもらえるかなど、家づくり全体の流れの中で「感じること」が一番の勉強だったように思います。

あとは、田中さんとの対話の中で学ばせてもらったことが大きいです。

田中さんの人間性がとても素晴らしくて。生き方にも設計にも「筋を通す」タイプの方で、設計においてもきちんと説明ができることを大切にされていました。飾りでものを考えたりはしない方で、筋が通っていない設計には鋭く指摘をされていました。

そう話すと、厳しい人のような印象を持たれるかもしれませんが、僕たちスタッフのことを尊重してくれる人で、事務所の居心地がとても良かったんです。

僕は最初の面接時に「3年で辞めます」と宣言したんですが、結果的に11年も居ることになったんですね(笑)。

 

――独立をしたタイミングやきっかけについて教えて頂けますか?

 

水澤:いくつか理由があるんですが、その一つは息子が生まれたことです。子供に何かを教えてあげるということがあまりできそうになかったので、せめて毎日ご飯は一緒に食べようと思ったのです。食事の時間を共有することは、とても大事なことだと思うんですね。

設計事務所に勤めていると夜が遅くて、そういうわけにもいかないですから。

DSC_6561-Edit

あとは、年齢的にも30代半ばが一つの目安と考えていました。ちょうど田中敏溥建築設計事務所で担当していた仕事の区切りがつくタイミングで独立をしたんです。

 

――水澤さんが設計で大事にしていることはどんなことでしょうか?

 

水澤:一つこれだけを大事にするというのはなくて、間取りや構造、それに素材、開口や通風、温熱など全体を考えながら設計をしています。設計の中では、平面的なプランニングが一番力が入るところですね。プランニングがしっくりこないと先に進めないというのがあって。人によっては造形から入ったり、直感的なところから入ったりする方もいらっしゃいますが、僕は二次元的なところから入るタイプです。

 

――水澤さんのWEBサイトで「豊かな時間 (とき) を 穏やかな生活 (くらし) を創造したい」と掲げられています。このコンセプトについて詳しく教えて頂けますか?

 

水澤:人によっては「住宅で刺激を受けたい」と思っている人もいらっしゃいます。住宅はいろいろあっていいと思っているんですけど、僕の場合は、外の景色を眺めたり、のんびりと過ごしたり、穏やかな時間が流れるような家をつくりたいと考えています。

DSC_6587

具体的には、外とのつながりを大事にしていますし、素材は柱・梁、床も無垢材、壁もできれば左官仕上げの塗り壁がいいなと思っています。床材は触れた時に柔らかい杉や檜などの針葉樹を提案することが多いですね。

間取りにおいては、まずリビングを一番くつろげる空間にしたいと考えて設計をしています。窓は、風の流れを考えて、風の入口と出口を考えて配置するようにしていますね。

温熱に関しては、なるべく機械の冷暖房に頼らなくても快適に過ごせるような設計を意識しています。

 

――ここまで水澤さんにお話を伺ってきましたが、今度は加藤社長お願いします。どのような経緯で水澤さんに設計顧問を依頼するようになったのでしょうか?

 

加藤:11年前、2008年にチルチンびとの「地域主義工務店の会」に入会した時に遡るんですけど、その会の顧問を田中敏溥さんがやっていたんです。田中さんの出身地が村上市で、うちも村上市の建設会社ということで、私たちの会社のことを知っていらっしゃって推薦して頂きました。

入会するにあたっては、家づくりで使う建材に厳しいルールがあり、チルチンびと仕様の家づくりをすることが条件となっていました。

DSC_6591-Edit

そこで、まずはモデルハウスを建てようということになり、田中さんに設計を依頼したんです。

2008年、新潟市北区木崎にモデルハウスが完成し、それを見たお客様からご依頼を頂くようになるのですが、「モデルハウスはいいけど、お客様の家の設計をどうやっていこうか?」ということになり、田中さんに相談に行ったんです。そうしたら目の前でプランを描いてくださって。

では、どうやってその後実施設計を進めていけばいいか?となった時に、田中さんから水澤さんを紹介して頂いたんです。それで、完成したばかりのモデルハウスを見て契約に繋がった最初のお客様から水澤さんに携わって頂きました。

水澤:そうですね、最初のお客様の実施設計からでしたね。

加藤:それからずっとなので、もう10年のお付き合いになります。

 

――加藤社長から見て、水澤さんの設計の魅力はどんなことですか?

 

加藤:私は家業を継ぐ前は岐阜で家具職人をやっていたんですが、田中敏溥さんと同様に「理由のないデザイン」というのが嫌いだったんです。意匠が先ではなく、機能がしっかり考えられているベーシックなものが好きで。

水澤さんの設計する建物も、完成して中に入った時にそのあたりがすごく共感できるんですね。土地の特性もしっかりと捉えられていて、「いい建物だな…。自分もここに住んでみたいな」と思いますね。

DSC_6551-Edit

あと、お客様から「なぜこういうプランなんですか?」と質問された時も、いろいろなパターンを試した結果として最適なプランを提示されているので、しっかりと説得力のある説明ができるんです。プランが出るまでに時間も掛かるんですが、やはりすごく深く考えられているんだな…と思いました。

あとは、お客様とのやりとりで、専門用語ではなく分かりやすい言葉を使って丁寧に説明をされていますし、気さくな印象を感じさせるところも水澤さんの魅力だと思っています。それはお客様に対してだけでなく、我々に対しても押し付けるような感じが一切ないですし。職人さんとお酒を飲んでいるところを見ても感じますね。

納得を積み重ねながら、家づくりを進めていくのが水澤さんのスタイルだと思います。

私自身も家具をつくっていたので、意思のある作り手にすごく共感するんですが、水澤さんはお客様に言われたことをただ図面にするのではなく、そこに水澤さんが大事にしている思想があることも感じます。

 

――水澤さんは東京在住ですが、どのようにして新潟の仕事を進めているのですか?

 

水澤:家造さんと協働という形でやっていますので、お客様のさまざまな要望に対しては家造の若山さんが担当しているんです。僕はプランを作ってお客様に説明をする時に新潟に来ます。大体月に1〜2回くらい新潟に来る感じですね。

DSC_6618

プランはいくつも出すのではなく、僕が一番いいと思った案を1つ出すようにしています。もちろん、それまでに、いくつか他の案は考えた上で一番いい案に辿り着いています。

ただ、打ち合わせを進めていく中でお客様の優先順位が変わってくることがありますので、その場合は別な案に変えていくことはあります。

 

――お客様へのヒアリングで重視していることはありますか?

 

水澤:重視しているのは、できる限り、お客様のご自宅に出向いてお話を伺うということですね。お客様が持っている家具や、住まい方を見せて頂きながら要望を伺うことで、何を本当に望んでいるかがイメージしやすくなります。それを経て設計をする方が、僕の中でしっくりとくるんです。

あと、独自のヒアリングシートを使って質問に答えて頂くのですが、それはお客様の要望を我々が知れるということ以上に、お客様にじっくりと考えてもらい要望を整理してもらうことに意味があると思っています。それに、ご夫婦の考え方の違いも、ヒアリングシートを書いてもらうことで早い段階で分かるようになりますので、プランを詰めていく上でとても重要なんです。

 

――水澤さんが考えた一番いい案がお客様に受け入れられないことはありますか?

 

水澤:そういうことはあまりないですが、ただ、プランを見てからお客様が決めるまでに時間が掛かることはあります。

加藤:いろいろ他のプランもご希望されて、最終的に最初のプランに戻るというケースもありますね。誰もが図面を見て完成形をすぐイメージできるわけではないですから。

水澤:逆に僕はそういうお客様はありがたいと思っています。自分の家のことを深く考えた結果だと思いますし、ご自分でもいろいろと勉強をされていたりもします。設計者からするとむしろ楽しいですし、一緒に真剣に考えながら進んでいくことでいい家ができると思っています。

DSC_6623-Edit

 

――水澤さんが尊敬する建築家や好きな建築について教えて頂けますか?

 

水澤:僕の師である田中敏溥さんを一番尊敬していますし、建物も好きです。

あとは、自分が仕事を覚えながら参考にした建築家としては、永田昌民さんがいらっしゃいます。また、田中さんが東京藝大出身なのですが、藝大の教授を務めていた吉村順三さんの作品集も参考にしていましたね。

あと、全然タイプが違う建築家ですが、学生時代は白井晟一さんや葉祥栄さんの作品が好きでした。

いろいろな建築家を参考にしつつも、現在の仕事をする上で最も影響を受けたのは、やはり田中敏溥さんです。

 

――家造さんとの協働は、設計事務所として直接依頼を受けるのとどんな違いがありますか?

 

DSC_6606-Edit

水澤:家づくりにおいては設計以外にもやることは多くあるのですが、そのあたりは若山さんが全てやってくれているので、設計業務に集中できるという点が挙げられます。また、素材や断熱など、家造さんの仕様がある中で設計をしますので、全てを一から提案するのではなく、家造仕様で進められるというのも特徴ですね。

あとは、完成後に家造さんがメンテナンスをしていくんですが、完成当初では分からなかったことを共有して頂き改善していける点も、長くお付き合いを続けることで得られるメリットだと思っています。

また、工務店と建て主さんとの間に、第3者の立場で設計者がいることは、建て主さんにとっても心強いのではないかと思います。

 

――今後、新しく取り組みたいことはありますか?

 

水澤:特に何かを大きく変えるというのはありませんが、先ほど話したような、小さなことで考え直すべき点は少しずつ変えていきたいと思っています。

お客様の変化としては、最近は薪ストーブを求める方が減ったな…とか、コンパクトな家を求める方が増えたな…とか。求められる家の形が少しずつ変わっているのを感じますね。

加藤:当たり前のことですけど、「きちんと健全な家をつくる」という家造のスタンスもこれからも変わりません。ただ、世の中もお客様も変わっていきますので、時代によって求められるものはしっかり先取りしていきたいと思います。

DSC_5272-Edit

しっかりとした軸を持って設計を行う水澤さんが手掛けているのは、穏やかでリラックスした時間が流れる住まいです。

60歳になった今も、古い建物や美術館から学び、雑誌で気になった建築は1/100のスケールで図面をトレースするなど、知識のインプットを大事にしているそうです。

今回インタビューを行った若山さんの自宅は、27坪とコンパクトながらも、東南向きに開いた開放的な2階リビングが特徴で、そこには眺めの良さや自然素材など、水澤さんの大事にしている考え方が現れています。

DSC_6641

「特に冬に朝日が五頭連峰から上がってくる時がすごくきれいで。前は太陽をありがたいと思ったことはあまりなかったんですが、ここに住んで太陽の光を浴びる心地よさが分かるようになりました」と若山さんは話します。

本質的な部分をぶらすことなく、世の中のニーズに合わせて進化していく水澤さんの設計。今後どのような住まいが、家造×水澤さんの協働で生まれていくのか、注目していきたいですね。

家造(いえぞう)はお施主様の家づくりのこだわり、
理想の住まいを実現するご提案をしております。

実際の住宅・住まい手の声はこちらからご覧ください。

  • 施工事例
  • 住まい手の声

家造の家づくりについてはこちら

  • 設計について
  • 性能について
  • 素材について

お問い合わせ

facebook

insta

access

pagetop

Copyrightc 2017 家造(加藤組). All Rights Reserved. Created by Co., Ltd ABABAI..